[マーケットのチャートを分析するにはどうしたらいいのか]
前回の記事では、「価格はすべてを織り込む」という理論と、マーケットのチャートを分析することの可能性を提示しました。
それでは、具体的にチャートを分析するにはどうしたらいいのか。
→チャート分析ソフトというものを使います。
[チャート分析ソフトとは何か]
チャート分析ソフトとは、マーケットを分析することに特化した専用のツールです。
「自分でデータを収集して、エクセルやワードなど一般的なパソコンソフトでチャートを作成する」というようなことをしなくても、このチャート分析ソフトの中にマーケットを分析するにあたっての機能が全て実装されています。
チャート分析ソフトにはいくつかのタイプがあります。
-
1.証券会社が提供するもの
各証券会社が口座を所有するユーザー向けに提供するものです。証券会社ごとに仕様は様々です。 -
2.インストール型プラットフォーム
Windows/Macにプログラムとしてインストールして使うものです。「自分のパソコンの中でファイル単位の操作を行い」カスタマイズしていくようなイメージです。 -
3.クラウド型プラットフォーム
Webブラウザ上でそのまま使えるものです。「自分のパソコンの中ではなく、プラットフォーム上で操作を行い」カスタマイズしていくようなイメージです。
ここでは、2と3について見ていきます。
[インストール型プラットフォーム]
インストール型プラットフォームの代表例がMT5/MT4です。(エムティーファイブ/エムティーフォー)MT5はMT4の後継機という位置づけです。
このソフトは「メタクオーツ」という企業が開発したものです。歴史が長く、業界標準的な位置づけとなっているソフトです。
開発元の公式サイトから直接自分のパソコンにダウンロードして、チャート分析専用のツールとして使うことができます。
実際にMT4/MT5を使用し、カスタマイズしていく流れは以下のようになります。
- インストール: 開発元のサイトから、自分のパソコン(Windows/Mac)にプログラムを直接インストールします。
- データの接続: ソフトを起動し、マーケットの価格データを受信するための接続を行います(デモ口座の開設やサーバーの指定など、チャートを動かすための初期設定です)。
- ファイルの追加(カスタマイズ): 標準搭載されていない独自の分析機能などを追加したい場合、インターネット上から専用の「プログラムファイル」をダウンロードしてきます。そして、自分のパソコンの中にあるMT4/MT5の指定のフォルダに、そのファイルを直接ドラッグ&ドロップして入れることで、初めて機能が拡張されます。 ※標準搭載されている分析機能もありますが、あくまで標準的なものに留まります。MT4/MT5はファイルを追加して使用することが前提、又は、多数派と思います。
[クラウド型プラットフォーム]
クラウド型プラットフォームの代表例がTradingViewです。(トレーディングビュー)
このソフトはアメリカの「TradingView」という企業が開発・提供しているものです。 Chrome/Edge/SafariといったWebブラウザから公式サイトにアクセスすることで、チャート分析専用のツールとして使うことができます。
実際にTradingViewを使用し、カスタマイズしていく流れは以下のようになります。
- アカウントへのログイン: Webブラウザ(Chrome/Edge/Safariなど)から公式サイトにアクセスし、自分のアカウントにログインすることでチャート画面を開きます。 ※アカウントを作成しなくても閲覧はできますが、お試し閲覧のようなイメージになります。
- データの表示: プラットフォーム上にはあらかじめ世界中のデータが接続されており、検索窓から見たいものを検索するだけでチャートが表示されます。
- 機能の追加(カスタマイズ): 標準搭載されていない独自の分析機能などを追加したい場合、プラットフォーム上で直接適用させることで機能が拡張されます。自分のパソコンとは切り離されているようなイメージです。 ※TradingView公式が提供している分析機能は豊富かつ高度です。それを中心に使用して、オプション的に他の分析機能を追加するようなイメージです。かつ、オプションで追加するものはパソコンと切り離されており、TradingView上の操作で完結します。
[3つのタイプのチャート分析ソフトの比較/コメント その他補足]
1.各証券会社が提供するもの
→
口座を持っていれば無料で使用できることも多いため、これを使うことも選択肢のひとつです。実際に取引(発注)を行うのであれば欠かせないツールです。
しかし、純粋な「分析における機能性や利便性」という観点では、2(インストール型)と3(クラウド型)が優位であることが多いです。 これは、証券会社のツールが劣っているというわけではありません。証券会社のメイン事業は、あくまで「顧客の注文(売買)を処理すること」や「金融商品を安全に管理すること」だからです。(又は、証券会社提供ツールは売買機能を軸に設計がされている)
一方で、2や3を提供する企業(メタクオーツ社やTradingView社)は、チャート分析ソフトの開発そのものをメイン事業としている「専業メーカー」です。 そのため、「分析のしやすさ」や「機能の豊富さ」という点においては、2や3の専用プラットフォームの方が、高いクオリティを誇るというのが自然な構造です。
2.インストール型プラットフォーム
→
MT4/MT5はカスタマイズ性が高く動作も良好ですが、自己規律が必要なツールです。パソコンのファイルをダイレクトでやり取りするイメージなので全くの初心者には少しハードルが高いかもしれません。
また、その性質上インターネットウイルスや特殊詐欺に利用されることがあります。
よく聞くFXの詐欺などにおいて、世界的に普及しているMT4/MT5が悪用されるケースが見受けられます。
MT4/MT5の世界では、インジケーターを「ファイル(.ex5など)」として直接やり取りします。
これは、「メールの添付ファイル」や「USBメモリ」を受け取るのと同じ行為です。 そのファイルの中に悪意あるプログラム(ウイルス)が仕込まれていれば、ウイルスに感染する恐れがあります。
以下が実際に起こっているMT4/MT5経由のトラブル例です。
⇩※いずれもメタクオーツ社とMT4/MT5自体に非はありません。過去の事例であり、現在は対策が強化されています。同時に、詐欺自体が巧妙化しているという実態があります。
【MT4/MT5を経由した実際の詐欺・トラブルのケース】
1. 悪意のあるファイル(ウイルス・マルウェア)の配布
手口: SNSやブログなどで「勝率90%のオリジナルインジケーター」や「自動売買プログラム」と称して、無料または有料でファイルをダウンロードさせます。
実態: そのファイルの中に、パソコンのパスワードを盗み出すウイルス(キーロガーやトロイの木馬)が仕込まれています。ユーザーがMT4/MT5のフォルダにファイルを直接入れた(実行した)瞬間に感染します。まさに「見知らぬ人からのUSBメモリ」といったイメージです。
2. 粗悪な「自動売買システム(EA)」の高額販売
手口: 「パソコンを放置するだけで月利20%」といった甘い言葉で、MT4/MT5専用の自動売買ファイル(EA)を数十万円で販売します。
実態: 中身のプログラムが暗号化されていて見えない(ブラックボックスである)ことを悪用しています。実際にはデタラメなロジックが組まれており、最終的に資金を全損させられます。
3. 架空の証券会社への誘導と「出金拒否」
手口: SNSやマッチングアプリで知り合った人(詐欺師)から、「私が使っているおすすめの取引所」として特定の海外証券会社を指定され、そこでMT5をダウンロードするように指示されます。
実態: メタクオーツ社は「システムを企業に貸し出す(ホワイトラベル)」ビジネスをしています。詐欺グループが正規の事業者を装うなどして巧妙にこの仕組みを悪用し、自分たちで架空の証券会社を作り、本物のMT5システムを導入して被害者に使わせる事例がありました。本物のMT5アプリが動くため被害者は信用してしまいますが、お金を振り込んでも利益を出しても、最終的に「税金がかかる」「手数料が必要」と言われ、1円も出金できなくなります。
4. 利益の「偽装表示」(ピッグ・ブッチャリング / ロマンス詐欺)
手口: 上記の3と併用されます。詐欺グループが運営する証券会社(サーバー)に繋がっているため、詐欺師側でMT5に表示される「価格」や「利益」の数字を自由に操作できます。
実態: わざと連戦連勝しているように偽装し、「もっと資金を入れればもっと儲かる」と錯覚させ、被害者から極限までお金を搾り取ります(豚を太らせてから解体する=ピッグ・ブッチャリング詐欺と呼ばれます)。
※いずれのケースもMT4/MT5自体に問題があるわけではありません。悪用されることがあるということです。1と2についてはネット上で配布されているすべてのファイルが悪意のあるものということではありません。
【もし、MT4/MT5を使うなら】
-
「野良ファイル」を拾わない:SNSや個人ブログで出所不明のまま配布されているファイルは避ける。
-
「公式マーケット」を使う: MT5内の「マーケット」タブ(公式サイト)から信頼性があるものをダウンロードする。ここは運営のウイルスチェックを通っており、評価(レビュー)も見れるため、比較的安全です。
-
「人づて」の紹介・勧誘には警戒する: SNSやマッチングアプリで知り合った人物から「おすすめの証券会社がある」「勝てるシステムを教える」と持ちかけられた場合は、架空業者やロマンス詐欺の可能性があるため注意する。
3.クラウド型プラットフォーム
→
TradingViewは一般人向けで操作が直感的に分かりやすい、にも関わらず機能は高度でプロ向けといってもいいレベルにあります。
最大の特徴は、ソフトをパソコンにインストールする必要がない(パソコンとシステムレベルでやり取りをしない)「クラウド型(ブラウザ型)」である点です。
通常のWebサイトと同じ感覚で使用する分かりやすさ、パソコンのシステムレベルと切り離して運用できる安全性、初心者から高度な機能を求める層まで幅広く満たす機能性など、様々な面をクリアしています。
デメリットを挙げるとすれば、金額面です。1と2のチャート分析ソフトでは、無料で構築していくことが可能ですが、TradingViewの場合は無料プランで可能な機能範囲が絞られています。(それでもそれなりに可能)
※TradingView経由のリスクはシステム的なものではなく人間的なものです。こちらはあるようなので、不用意に支払いをしない/個人情報を渡さない/フィッシングや偽サイトに気を付ける など基本的な意識は徹底してください。
ここまでの説明から、このサイトではTradingViewをお勧めしています。⇩(広告を含みます)
有料契約をしなければ金額は発生しないので、まずは無料で会員登録をしてみることを推奨します。無料会員でもある程度の操作が可能なので、ここで試してから有料プランを検討してください。有料プランには無料トライアルがあります。このあたりは、公式Webサイト/公式のヘルプセンターを確認しながら細かい点を確認していくと良いと思います。
※筆者はTradingViewのユーザーです。Premiumの年額プランを契約しています。URLは筆者の紹介リンクです。
| 推奨する契約プラン |
→Premiumの年額プランです。
プランごとの比較項目の内、一番上の「タブごとのチャート数」、「チャートレイアウトの保存数」が使用感に大きく関わってきます。
特に「チャートレイアウトの保存数」が、大きいです。Plusプランでも10個保存できるので十分そうですが、深く探求していくと10個までという制限は管理が面倒になってきます。
「タブごとのチャート数」については、"Plusの4画面をモニターに2枚表示して疑似的に8画面にする"というような工夫ができます。が、いろいろと構成を試していっている段階では8画面まで分割できるというのも有用です。
その他の項目としては、「ご利用可能な過去バー」も多い方が良く、これはEssential/PlusよりもPremiumの方が明確に上です。
全てのプランを並べると
Essential
→足りないが許容できる。Basicよりは良い。
Plus
→ピッタリだが少し足りない。できればPremiumがいい。
Premium
→最適
Ultimate
→特定の目的がないのであれば、やや過剰。
こういった印象です。
※ここまでのプランの判断基準は、「金融取引で利益を出す」ことよりも「チャート/マーケットの探求をしていくこと」に重きを置いています。ただし、利益を出していきたいとしても理解が深いに越したことはないです。
※それなりに大きな金額の契約となりますので、個々人の金銭面などもよく考慮してご検討ください。
| 登録に際しての注意 |
アカウントの登録/管理/操作は以下の理由により、公式Webサイトで行うことを推奨します。
・セール時の割引が適用されない
→TradingViewは定期的に割引セールを行っています。これがApp store / Google play経由だと適用されない可能性があります。
・プラットフォームの料金が加算されてしまう
→App Store / Google Playストアではプラットフォーム利用料として金額が加算されるため公式Webサイト経由よりも割高になる可能性があります。ちなみに公式Webサイト経由でも Google Pay / Apple Pay は利用可能なので決済の手軽さは同じです。
・追加データの購入はウェブ版のみ(重要)
→TradingViewではサブスクの内容に加えて各取引所ごとの追加データを月額/年額契約で購入できます。これができるのは公式Webサイト経由で契約した場合だけです。理解が深まってくると、この追加契約は有用です。
| 参考情報 |
「TradingView Q&A/利用規約 のスクリーンショット」
※画像内の赤枠は、解説のために加筆したものです。
※2026年4月時点のものです
その他疑問点は公式Webサイトのヘルプセンターで検索してください
出典:TradingView 公式Webサイトおよび利用規約
[パソコンとモニターの選択]
TradingViewでチャートを分析していくにあたって、パソコンとモニターはどのようにしていったらいいか。
基本は今自分が所有しているパソコン/タブレットを軸に考えていくのがいいです。
TradingViewは表示させる内容によりますが、そこまで重い処理が必要なサイトではないため新たに買いそろえなくても十分な可能性があります。
基本構成としては、メインモニター+サブモニターの2画面から始めていくといいです。
具体的には
メインモニター
→24インチのフルHD 1920×1080 モニター
(又は、手持ちのノートパソコン/タブレット/Chromebook)
サブモニター
→27インチの 4K 3840×2160 モニター
(価格を抑えたい場合は、27インチ WQHD 2560×1440 モニター)
この構成がおすすめです。
チャートの理解が深まっていくにつれ、自分がしていきたいモニターの配置が出てくるので、最初に買い込みすぎない方が良いと思います。勝手を十分に理解してからの方がいいです。
27インチのモニターは取り回しがしやすいため自分で配置を変えようと思ったときに便利です。価格も高くなりすぎず、それなりの値段で購入することができます。
金融機関のディーリングルームや個人投資家のセットアップとして大量のモニターを配置した構成がでてきます。有用ですが、単純にスペースを取るのと配置を動かしたりするのが面倒という側面があります。
[モニターの解像度と画面分割の関係性]
マルチモニターにしていく上で覚えておいた方が良いのは 解像度/インチ数/画面分割 の関係性です。
【4Kモニター(3840×2160)】
・27インチ 4K を4分割(田の字)
1画面の実質サイズ:13.5インチ
1画面の解像度:フルHD 1920×1080
・27インチ 4K を縦置きにして3分割
1画面の実質サイズ:約15.4インチ
1画面の解像度:2160×1280
・32インチ 4K を4分割(田の字)
1画面の実質サイズ:16インチ
1画面の解像度:フルHD 1920×1080
【WQHDモニター(2560×1440)】
・27インチ WQHD を4分割(田の字)
1画面の実質サイズ:13.5インチ
1画面の解像度:HD 1280×720
・27インチ WQHD を左右に2分割
1画面の実質サイズ:17.7インチ
1画面の解像度:1280×1440
モニターを購入するときはこのあたりを意識しておくといいです。
これを踏まえると、とりあえず用意するのは27インチの4K かWQHDが最適なのではないかと思います。
そして、もう一つ重要な観点としてデスクの奥行きと横幅です。日本の現在のメジャーなサイズ感としては「幅100~140、奥行60cm」というのが一般的です。24インチのモニターを8画面などのマルチモニターにする場合、奥行きが60cmだとイメージしているよりもモニターまでの距離が近くなり、圧迫感があります。最低限のスペースと一般的なデスクを使用する場合は、画面分割をして13~16インチのサイズ感でマルチモニターというのはちょうどよくなります。
※補足
パソコンとモニターに付属しているアース線は正しくつないだ方がいいです。
アース接続は電磁波の低減効果があります。簡単にいうと余分な電気を地中に逃がしています。
外国企業のパソコンやモニターにアース線が付いていることが多いのは国際規格に則っているからです。





