[マーケットとは何か]
マーケット(市場)とは、現在の世界のシステムを成り立たせるための根幹の仕組みです。「仕事をして収益が発生する、その収益で食べ物やモノを購入し、生活をする」という当たり前の前提は、マーケットが正常に機能していることによって成立しています。マーケットが正常に機能していないと、その当たり前の前提が成立しなくなります。
例)お金があってもスーパーから食べ物が消えてしまい購入できない/仕事をしても生活に必要なモノが手に入らない
→これらは世界の中で、局所的に実際に起きている実態です。
[チャートとは何か]
チャート(Chart)とは、データや情報、物事の関係性などを視覚的に整理して表現したものです。
簡単にいうと、情報をパッと見てわかりやすく整理した図表のことです。
ニュースや学校で見かける「円グラフ・棒グラフ・折れ線グラフ」などは身近なチャートの代表例であると言えます。
[マーケットにおけるチャートとは何か]
ニュースや学校で見かける円グラフ・棒グラフ・折れ線グラフなどのチャートでは、集計するデータとして「企業の業績(売上)/気温の変化/人口の推移/アンケートの回答結果」などが一般的です。
それでは、マーケットをチャートで表す際に集計するデータは何なのか。マーケットでは「価格情報」が基本データとして扱われます。
そして、マーケットにおける「価格情報」を構成する要素は、「買い」と「売り」の2つに集約されます。ただし、ここでいう「買い/売り」は日常生活の中で使われる用語とは少しニュアンスが異なります。
マーケットでは価格は固定されておらず、買う側と売る側の取引によって常に動的に決定されます。この「買う側と売る側」の関係は、1対1の単純なものではなく、取引に至る理由も単一ではありません。パッとイメージするよりも多様で複雑な要因が絡まり合っています。
つまり、買い/売りという表現はしますが、日常の買い物から連想されるイメージよりも、よりフラットな「契約」という言葉のイメージで捉えた方が実態に即していると考えます。
[ファンダメンタル分析とテクニカル分析]
マーケットを捉えていくアプローチとして2つの方式があります。
1.ファンダメンタル分析
2.テクニカル分析
【ファンダメンタル分析】
マーケットにおける価格の水準を、様々なデータから分析していこうとする試みです。この中でもさらに以下の2つに分けることができます。
・定量分析(数字で表せるもの)
→売上高、利益、国のGDP、失業率など、明確な「データ」として計算できるもの。誰が見ても同じ数字が出ます。
・定性分析(数字で表せない抽象的なもの)
→明確な数字に表すことができませんが、重要なファンダメンタル情報の一部として扱われます。
例)
企業のブランド力や熱狂:「新製品発表に対する期待感」、「経営者に対する世間の評価」
地政学的なムード:「中東情勢に対するなんとなくの不安」、「選挙前の不透明な空気」
ストーリー:「AIがどのように世界を変えるかというビジョン」
【テクニカル分析】
マーケットにおける価格の水準を、「過去の価格の推移=チャート」から分析していこうとする試みです。過去の価格の動き(上がり下がり)や、取引の量、時間の経過などを視覚化した「チャート」を観察します。
つまり、企業の業績や外側のニュースを直接調べるのではなく、純粋に「マーケット内で実際に結ばれた契約(価格)の歴史」だけを頼りにして分析を行います。
[マーケットをチャート(テクニカル分析)で捉えること]
2つのアプローチを見比べたとき、ファンダメンタル分析の方が真っ当なアプローチであり、テクニカル分析は不確定で根拠の薄いものだと考える人も多いと思われます。しかし、テクニカル分析にはそれを支える強力な理屈もあります。
その代表例がダウ理論における、『価格はすべての事象を織り込む』という考え方です。
ダウ理論とは、19世紀末にアメリカのジャーナリストであるチャールズ・ダウが提唱した、現在のテクニカル分析の基礎となっている市場理論です。
この理論の基本原則である『価格はすべての事象を織り込む』とは、「世界中で起きているあらゆる出来事は、すでに現在の価格の中に含まれている(反映されている)」という考え方です。
つまり、極端に言えば、テクニカル分析はファンダメンタル分析を内包していると考えることもできます。
[ダウ理論の応用]
多くの人は「金融取引で利益を追求する。そのための手段としてチャートを分析する」と考えています。しかし、ここまでの構造を理解すると、その順序が逆転、あるいは意義が大きく拡張される可能性があります。
「テクニカル分析がファンダメンタル分析を内包している(=価格には世界中のすべての事象が圧縮されている)という仮説」の前提に立つならば、すべてを反映したチャートを読み解いていくことには多様な示唆があるのではないか。
つまり、
1.金融取引で利益を追求する→そのためにチャートを分析する
ではなくて
2.チャートを分析する
→
a.金融取引で利益を出す。
b.グローバル意識や国際教養を養う。
c.ビジネス的視点を養う。
d.数学的感覚を養う。
e.その他諸々の抽象的な示唆が得られる。
例えば、こういった考え方ができるのではないかということです。
※補足
現代においてダウ理論は強化されているのではないか
ダウ理論が提唱された19世紀末は、インターネットは存在せず、マーケットの売買は取引所の店頭や電話、電報で行うことが主流でした。情報の伝達にも時間がかかりました。
しかし現代は、世界中のあらゆるニュースが瞬時にインターネットを駆け巡り、ほとんどの取引がオンライン上で行われています。参加者の数も取引量も、当時とは比べ物になりません。
この「情報伝達の高速化」と「圧倒的な取引量」という環境は、『世界中の事象が価格に織り込まれる』というダウ理論の論理を、さらに一段階強化していると考えられます。(※その代わり、AIによる自動売買やSNSの投稿など、現代特有の細かい「ノイズ」が増えているという側面もあります)
[マーケットの捉え方 具体例]
マーケットはとても複雑で多様な要因によって動いています。完璧に捉えることは難しいです。ここでは、有効な1つの解釈を提示します。この解釈を導入/ベースとして置きつつ、細かい部分を探求していくといいと考えます。
現在のグローバルマーケットを理解する上で、最も重要な前提は「アメリカと、それ以外の国」という力学です。
世界経済の中心であるアメリカの動向が起点となり、それ以外の国の中で影響力の強いEU、日本、イギリスといった主要国へと波及していくのが基本構造です。(※中国は経済規模こそ巨大ですが、純粋な資本主義市場ではない特殊な立ち位置にあるため、この連鎖の法則からはやや外れます)
さらに、1つの国(経済圏)の中においても、資金は無秩序に動くわけではなく、「波及の順番」が存在します。
- 10年国債利回り:国債とは国が発行する借用書です。期間が複数あり、10年は重要度が高いものとして扱われています。簡単に、その国のベースにある金融商品と解釈しておくといいです。
⇩ - 為替: 為替(外国為替)とは異なる国の「お金そのもの」を交換する仕組みです。簡単に、それぞれの国の通貨の話と解釈しておくといいです。
⇩ - 株式: 株式とは企業が新しいビジネスや事業拡大の資金を集めるために発行する「権利の証明書」です。簡単に、上記2つの影響を強く受けるものと解釈しておくといいです。
[地球の自転とマーケットのリレー]
「アメリカ起点」という構造と「金利→為替→株」という資金の波及は、単なる概念上の話ではありません。これらは実際の「地球の自転(時差)」と密接にリンクし、世界をリレーのように駆け巡っています。
